資産形成

4(7) 証券口座の種類(一般口座、特定口座、NISA口座)

 証券会社で口座を開いて投資しようとするとき、我々は3種類の証券口座から1つ選んで投資することになります。日本の法律では、株式投資や債券投資で利益が出ると、20.315%の税金がかかることになっており、「一般口座」や「特定口座」では税金を支払う必要があります。しかし、国民の資産形成を促進するため作られた「NISA口座」ではこの税金が免除されます。下の図は各口座の概要です。順に詳しく説明します。

図1 証券口座で作られる3種類の口座(一般口座、特定口座、NISA口座)

・一般口座

 一般口座は、株式や債券の利益や損失を自分で計算し、確定申告を行って税金を支払う必要がある口座です。確定申告とはその年の株式などの収入を国に報告して納税するものです。確定申告で支払う税金の計算をすべて自分で行う必要があるため、上級者向けの口座といえます。一般の投資家があえて一般口座を選択する必要はあまりありませんが、一部の未公開株、従業員持株会から引き出した株式、海外資産の管理のために、一般口座が利用されることがあります。

SP500ちゃん
SP500ちゃん
確定申告って何?
Dr. めたる
Dr. めたる
確定申告とは、1年間の収入や税金を自分で計算して税務署に報告する手続きだよ。投資での儲けを申告して税金を納めるんだよ。
SP500ちゃん
SP500ちゃん
じゃあ損したときは申告しなくてもいいのね?
Dr. めたる
Dr. めたる
損した年は申告しなくてもいいけど、損したことを申告しておいたほうがよいよ。申告しておけば、次の年に利益が出たとき、今年の申告した損の額を来年の利益から差し引けるんだ。だから払う税金が減るんだ。

・特定口座

 特定口座は、証券会社が税金の計算を行ってくれる口座です。特定口座はさらに、「源泉徴収あり」と「源泉徴収なし」に分かれます。

「源泉徴収あり」の特定口座では、口座内で売却益や配当による利益が出た場合、証券会社が税金を計算してくれるだけでなく、売却益や配当から税金を自動的に差し引いてあなたの代わりに納税してくれます。(なお、その後、売却損が発生した場合には、売却益との差額を計算し払い過ぎた税金を還付してくれます。)このように、自動的に税金を計算して利益から天引きしてくれるのが、「源泉徴収あり」の特定口座です。特定口座の「源泉徴収あり」を選択しておけば、原則として確定申告をする必要がないため、投資家の事務的な負担が減ります。しかし、「源泉徴収あり」であっても、確定申告をしたほうがよい場合があります。理由は主に2つあります。

1つ目は、証券口座を複数持っている場合です。たとえば、2つの証券会社で取引していて、A証券の口座で利益が出て、B証券で損失が出た場合、それぞれの利益を損失で打ち消すことで税金を減らすことができます。図2のように、A証券では利益が100万円、B証券では20万円の損失があったとします。A証券は税金の20%(本来は20.315%だが簡単のため20%としている)をあなたの代わりに納税してますが、B証券では損が出ています。このまま何もしなくても良いのですが、A証券とB証券の損益を合算して税金を計算することができます。確定申告することで払い過ぎた税金が戻ってきます。

図2 損益通算の確定申告

 2つ目は、上で説明したように、1年間の損益がマイナスだった場合です。この場合、確定申告をすればその損失を翌年以降に繰り越すことができます。翌年に利益が出た場合、翌年の利益と繰り越した今年の損失を相殺できるため、納める税金を減らすことができます。この損失の繰り越しは、毎年確定申告を行うことで最大3年間行うことができます。

図3 損失繰越の確定申告

 「源泉徴収なし」の特定口座では、税金の計算は証券会社が行ってくれますが、納税のための確定申告は自分で行う必要があります。確定申告せずにそのまま放置してしまうと脱税になるおそれがあります。そのため、一般的に「源泉徴収なし」の特定口座を利用している人は多くありません。

・NISA口座

 NISA(Nippon Individual Savings Account)とは、日本語では「少額投資非課税制度」で、NISA口座は投資で得た利益に対して支払う税金がゼロになる口座です。どれだけ利益が出ても税金がゼロ円である点は、大きな魅力です。たとえば、資産が1億円に増えたとしても、NISA口座内で得た利益であれば税金はゼロなのです。

そのため、資産形成のために投資信託を購入する場合は、まずNISA口座を活用していくのがよいでしょう。NISA口座で投資できる枠をすべて使い切った後に、特定口座で投資を行うという順番が基本になります。NISA口座には1,800万円の非課税保有限度額があるため、この枠を活用するだけでも十分な資産形成が期待できます。

SP500ちゃん
SP500ちゃん
まずはNISA口座を使うのね。NISA口座では何を買ったらいいのかしら?
Dr. めたる
Dr. めたる
それは次回や次々回で説明する予定だけど全世界株式かS&P500のインデックスファンドがお勧めだよ。

NISA口座はメリットが多い制度ですが、弱点もあります。それは、損失が出た場合に、特定口座や一般口座とは異なり、損益通算ができないという点です。NISA口座で損失が出ても、その損失を他の口座の利益と相殺することはできません。また、損失を翌年以降に繰り越すこともできません。

したがって、NISA口座では、長期的に安定した成長が期待できる商品を選び、できるだけ損失を出さないように10年以上といった長い時間をかけて運用することが重要です。

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