資産形成

4 (3)投資家と労働者 ~単なる労働者では搾取される~

 前回、株式投資について説明しました。投資家(資本家)は株式を買って、会社はそのお金を使って事業を立ち上げます。そして、会社は利益を上げれば一部を投資家に還元します。この会社で事業を動かすために雇われるのが「労働者」です。労働者は毎月給与を受け取りますが、その金額はその労働者が実際に稼いだ額よりも少なくなるのが一般的です。なぜなら、事業が上げた利益は会社を大きくするために使われたり、一部が投資家の取り分になったりするからです。労働者には残りの部分が支払われることになるからです。このような構造だと、労働者の立場からすると、自分が稼いだお金が不当に「搾取」されていると感じることもあるでしょう。

図1 投資家は労働者の稼ぎの分け前を頂く!?

 労働者の立場から見れば投資家が悪い存在だと感じるかもしれませんが、投資家は「リスク」を抱えていることを忘れてはなりません。投資した事業が失敗すると、彼らは投資額を全て失う危険があるのです。このリスクの対価として、資本家は成功した場合に限り利益を受け取る仕組みとなっているので投資家を一方的に搾取しているとまでは言えません。労働者は会社の儲けに関係なく毎月一定額の給料を貰うことができるのですから。

図2 確実な給料が貰える労働者とリスクを負う投資家

 労働者は「労働力」を提供するだけで、会社の黒字や赤字に関係なく給与が支払われます。そのため、稼いだ分の全額がもらえないのは仕方ないとも考えられます。労働者は安定した給与を受け取りますが、その給与が高いわけではありません。労働者は安定を得る代わりに収益の一部を諦める働き方とも言えます。

投資家のほうが有利な社会構造

 では現実には投資家と労働者のどちらが得なのでしょうか?現代社会においては、投資家の方が労働者よりも有利であるとされています。みなさんはr>gという言葉を聞いたことがないでしょうか?投資の平均リターンrは労働収入を左右する経済成長率gを上回るというトマ・ピケティが21世紀の資本論で示した不等式です。実際、現在の世界は、投資家が利益の多く獲得しており経済格差は広がり、投資家である富裕層がますます裕福になり、労働者は相対的に貧しくなっていく傾向です。

 大企業の大株主は華やかな生活を享受する一方で、労働者の生活が厳しいのは多くの人が感じていることでしょう。このような格差は、特にアメリカで顕著で、溢れかえるホームレスが問題となっています。アメリカに旅行したことがある人はホームレスの多さに目を疑ったことでしょう。日本ではホームレスは少ないですが、格差が確実に広がっているように思えます。

労働者ができること

労働者がこの状況を改善するには以下の選択肢があります。

社会を変えること

 選挙を通じて資本家に対する規制強化や富の再分配を求める制度改革を行うことが一つの方法です。投資家の利益の取り分を是正し行き過ぎた搾取を抑制するのです。しかし、これには膨大な時間がかかるし必ずしもうまくいくとは限りません。

 なお、著者も、投資家側もある程度の格差の縮小に動く必要があると考えています。格差が開きすぎると労働者と投資家の分断が広がり社会が不安定になるからです。投資家サイドも強欲になりすぎず利益を社会に還元していく必要があるでしょう。

自ら投資家になること

 もう1つは労働者である私たち自身が投資を始め、「労働者兼投資家」となる道です。労働者としての収入だけでなく、資本家が得る利益の一部を自分でも享受できるようにすることです。最初は収入の100%を労働に依存する労働者であっても、少しずつ投資家のほうにシフトしていき、労働引退時には収入の100%を投資から得られるようにしていく方法です。投資から収入が得られればより安定的な老後生活を送れるでしょう。また、うまくいけば定年より前に必要な生活費のすべてを投資から得られるかもしれません。

投資で稼ぐことは汚いとなんとなく思っちゃうのよね。
そんなことを思う必要はないんだよ。投資家は投資で次世代の企業を育てている。
それでも労働者よりも圧倒的に楽だと思うわ。
労働者は搾取されがちなのは間違いない。格差是正を訴えつつも、僕たちは単なる労働者でとどまってはダメなんだ。投資家側になって分け前をもらうほうに回って欲しい。
投資家って難しそうだわ。なれるかしら?
完全に投資家じゃなくてよいので、まずは半分労働者、半分投資家を目指すべきだね。自分で働いて稼ぎつつ、資本家としての収益も得るの2刀流をまずは目指すべきだね。
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